間宮兄弟

監督:森田芳光
酒造メーカーに勤める兄と小学校の校務員として働くの弟の二人暮しは、丁寧につつましく重ねられてゆく。二人の、大人子供な感じは確かにちょっと見てて気恥ずかしいのだけど、仲良きことはやはり美しい、とも思う。まあ、その仲の良さが、他者を遠ざけるってことはあるのかもしれないけど、彼等の周囲の人は、きちんと互いの領域を尊重しあっているように感じる。
個人的に、森田監督の作品は、どうもテンポがつかめずに見終わることが多く、この作品もその例にもれなかった。それでも、モテない兄弟の二人暮し、を、否定するのではなく、見守るように描く物語のタッチはとても好ましく感じました。また、二人が自分達のことを卑下しないのも良い。
本の詰まった本棚、作りかけのプラモデル(?)、丁寧に畳まれる洗濯物に、風呂上がりの一杯。いちにちの終わりのビデオ。
平均的であることと、幸せであることは、また別だよねということを思う。
お互いに依存しあう関係にも見えるけれど、映画を見ていると、例えばどちらかに恋人ができてそこを出ていくことになっても、きっと心から祝福しあえる人たちなんだろうなって漠然とした信頼感がある。泣きながら抱き合って別れを惜しむ様子が目に見えるようで、それはなんだか、うらやましいような光景だ。
ちなみにこの「間宮兄弟」は江國香織さんの小説を映画化した作品なんだけど、原作は未読。でも、映画を見終わったらぜひ読んでみたくなった。