甘酒、ポーク、映画

仕事で湯島に行く用があったので、ついでに湯島天神へ寄ってみた。
「去年来たのも今頃だったかしら、まだ梅咲いてなくて」
と、となりの夫婦が話しているのを聞きながら、小さな紅色のつぼみに触れてみる。かたい。
ぶらぶらと境内を歩きつつ、鈴なりの絵馬に手をあわせ、そうだおみくじをひこう、と思いついたが小銭がないので、何か買ってくずそう、と屋台をまわり、甘酒を買うことにした。なみなみとつがれた紙コップをうけとるとき、おじいさんの冷たくてかわいた手が触れた。「こんな寒い日はないやね」とおじいさんがにっこりしたので、私もつられて笑う。盛大な湯気。
甘酒でおなかをあたためてから、さてと、とひいたおみくじは「吉」。全体的にあたりさわりのない内容で、「願望 意外に早く叶う」と書いてある。私の願望とはなんなのだろうか。叶うとはどういうことだろう。
たぶん、願いごとというのは、叶う瞬間を待つこととは少し違って、きっともっと、長いこと、なんて思いながら、湯島天神を後にした。

昼には生姜焼き定食。隣のおじさんたちが、ルー大柴の話をしていた。「あいつは根がまじめなんだよ」「簡単な英語だけど、薮からスティックとか、センスあるよな」と、やたらに褒めちぎっている。その横で、私は豚肉をほおばり「飛べない豚はただのポーク…(小鹿さん名言より)」とつぶやきたいのを我慢していた。
久々にしっかりした昼食を食べたので、ちょっと眠くなったりしつつ、夕方には用事もすんだので、楽しみにしていた「人のセックスを笑うな」を見にシネセゾンへ向かった。が、上映40分前にして満席、水曜でもないのに満席! というショックで愕然と渋谷の町を歩きほとんどまっすぐ帰る気分だったのだけど、あ、そういえばと思ってライズに「ペルセポリス」を見にいった。感想はまた、こんど。
目の奥に染みるほど寒く、風の強い1日だった。