軽薄と水色/かわかみじゅんこ

軽薄と水色

軽薄と水色

かわかみじゅんこさんの最新刊。豊島ミホさん原作のものが2作品と、デビューして間もない頃のものが4本。
とにかくわたしは、かわかみさんの描く女の子がすごく好きなんだ。
「バイバイラジオスター」は、むかしつきあってた人の声を、たまたまラジオで聴いた女の子の話。ふたりが別れるときの回想が、なんつーかすごく切なかった。ああいうのってどうにもなんないのかなあ。とか。でも主人公の思いの変遷が、すごく自然で、いい話だなあと思った。
「だっこしてちょ」で印象的だったのは、おばあちゃんが、仲の悪かったはずのおじいさんに、もう亡くなってるんだけど、会いにドイツにいった、という話をしてる場面。

「イグアナとかって毎日触ってやらないと野生に戻っちゃうんです」
「はあ」
「だから毎日毎日触ってやる 疲れてても怒ってても寝てるとこ起こしてでも」
「…じゃ なんですか うちの祖母は野生に戻ったと」

野生に戻ったと。
それから「エバー・マリー・アダム」は、公園で、木を見上げるところを見てる、あの場面がすごくよかった。1話めと比べると、こっちはすれ違いそうで持ち直すお話なんだけど、こういうのはむずかしいな。すきとかきらいじゃなくて、見てるとこのすれ違いだもんな。
今月また、新刊がでるようで楽しみです。