気分

「自分の気持ちすらわからないのに、ましてや人の気持ちなんて… 」といった言い回しを見るたびに漠然と納得した気になっていたけれど、あらためて考えてみると、少なくとも自分の「気分」くらい、大抵は自分でわかってるんじゃないかって思う。
調子いいか悪いか、嬉しいのか悲しいのか、楽しいか退屈か、退屈は嫌いかどうか、とか。わからないのはたぶん、その理由のほうで、でも理由がなくたって楽しいときは笑ってるしへこんでる時はへこんでいる。
なにが大事かということもきっとそうで、言葉で説明できるような形にはならなくても、きっと触ればわかる。

ただ、頭の中にあったはずのものが、言葉にすることでまったく違うものになってしまった、ということはやっぱりあるから、自分にとって大事なことほど、言葉にするのは心細い。
そんなとき、自分と言葉との間は、埋まらないのかなーと、思ったりもするんだけど、だからこそ今はっきりしている気分は大事にしたいと思う。
そして、もしもそれが重なったと思うことがあるなら、理由より前に、その感じを信じていたい。そしてできれば、説明してみたいと思う。