- 作者: 鬼頭莫宏
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/04/21
- メディア: コミック
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「魂を宿した自動人形」ヴァンデミエールを巡る連作短編集。前に、第一話「ヴェンデミエールの右手」の感想で、鬼頭さんの描く少女像を決定付ける作品だ、と書いたことがあったけれど、その印象は今もかわらない。ただ、この作品でのヴァンデミエールは全て同じ人物ではなく、特に黒いヴァンデミエールと白いヴェンデミエールでかなりイメージが違って見える。
しかし、改めてこの無垢と強さを兼ね備えたキャラクター像に触れてみると、宮崎駿作品のヒロインを彷佛とさせるところがとても多い。そして、このヴァンデミエールには翼が生えている。それは飛べない翼であるからこそ、物語の中では繰り返し「飛ぶこと」へのあこがれが描かれるってところもおあつらえ向きなので。宮崎駿監督はこの作品を映画化すれば良いのにと思います。
彼女たちのたどる、童話のような物語が重ねられていく様は、一つのシナリオを重ねていく「やりなおし」の物語のようにも思えてきて、それは今やっているあれのせいなのかもしれないけれど、そう考えるとよけいにせつない。でも、二巻の閉じ方で少しすくわれた気分にもなった。