ヴァンデミエールの翼 全二巻/鬼頭莫宏

ヴァンデミエールの翼(1) (アフタヌーンKC)

ヴァンデミエールの翼(1) (アフタヌーンKC)

四季賞クロニクルで一話を読んでから、ずっと探してたのをやっと入手。
「魂を宿した自動人形」ヴァンデミエールを巡る連作短編集。前に、第一話「ヴェンデミエールの右手」の感想で、鬼頭さんの描く少女像を決定付ける作品だ、と書いたことがあったけれど、その印象は今もかわらない。ただ、この作品でのヴァンデミエールは全て同じ人物ではなく、特に黒いヴァンデミエールと白いヴェンデミエールでかなりイメージが違って見える。
しかし、改めてこの無垢と強さを兼ね備えたキャラクター像に触れてみると、宮崎駿作品のヒロインを彷佛とさせるところがとても多い。そして、このヴァンデミエールには翼が生えている。それは飛べない翼であるからこそ、物語の中では繰り返し「飛ぶこと」へのあこがれが描かれるってところもおあつらえ向きなので。宮崎駿監督はこの作品を映画化すれば良いのにと思います。
彼女たちのたどる、童話のような物語が重ねられていく様は、一つのシナリオを重ねていく「やりなおし」の物語のようにも思えてきて、それは今やっているあれのせいなのかもしれないけれど、そう考えるとよけいにせつない。でも、二巻の閉じ方で少しすくわれた気分にもなった。