ベルヴィル・ランデブー/シルヴァン・ショメ

ichinics2005-03-20
とっても楽しかったー。
私にとってヨーロッパ近辺のアニメーションって、今まで「面白いよ」と言い切るのが難しい、人にお勧めするのにはちょっとためらう感じの作品が多かったんですが、これはかなり良かった。
絵柄からなんとなくノスタルジックな雰囲気の物語を想像していたのですが、フタをあけてびっくり。個性的なキャラクター達が繰り広げるナンセンスかつシュールなコメディでした。ちょっと「デリカテッセン」を思いだす。まさに「フランス的映画」なんだけどとっつきやすいです。
映像は古き良きカートゥーンといった感じなんだけど、さりげなく技術もすごい。カメラが上空からベルヴィルの町をパノラマでパンするとこなんてすごく立体的で美しい。けどメカの匂いはしない。シーンが移り変わりかたなどもいちいち気が利いていてすてき。特に電車の中の男の新聞からテレビ画面に移行するとこなんかが印象に残る。
風刺の効いた人物描写も素晴らしい。ほとんど台詞がないこともまた効果的で、動きの表現する事柄の豊かさに驚かされる、というか考える間もなく理解できてしまう。その鋭い観察力によって描き出されるキャラクター達は、グロテスクともとれるけど、あまりにもあけすけなので気分が良い。ベルヴィルに太った人ばかりいるのもきっと、あそこが架空のアメリカだからなんだろう。たぶん。ハンバーガーでてきたし。
そして音楽がとても良いです。冒頭からフレッド・アステアジャンゴ・ラインハルトグレン・グールド(これは違うかもしれない)などが登場し、一気にその世界に引き込まれる。物語の中心的存在になっていくトリプレット達のナンバーもスィングしていて気持ちいい。パスカル・コムラード風の曲も印象に残った。給料でたらサントラも買いたいです。とりあえずブノワ・シャレストという名前を覚えておこうと思う。

新宿でやってたとき行けなかったので吉祥寺バウスシアターにて見る。
バウスシアターはなんか昔の遊園地の入り口みたいな(へんなたとえ)雰囲気の映画館で割と好きです。ちなみにここでは3月25日までらしい。
  *****
【追記】
なんか2日続けて音楽ものを見てしまったので、まあ比べる映画じゃないとわかっていても比べたくなる。正直「ビヨンドtheシー」よりは「ベルヴィル・ランデブー」の方が好きだと思いました。全然違う土俵にある作品ですけど、あえていうなら前者は一度見てお腹いっぱい。後者は何度でも見たい。散々泣いといてなんだよって感じだけど、真正面から勝負、というよりはちょっと斜に構えてる方が好みなんだと思う。