ロシアン・エレジー

監督:アレクサンドル・ソクーロフ
「ファザー、サン」公開前の特集上映は行けるの全部行って見たい、と思っていたのだけどなかなか時間がとれず、今日やっとこれを見にいってきました。
この映画の感想を言葉にするのは難しい。それは、そこに描かれているのが言葉に置き換えられる何かというより、思考、というか、内側にあるもののように思われるからだ。
最初に暗闇があり「私(視点)」の死が知らされたところで画面は像を結ぶ。やがて、二次元(写真)をカメラで行き来する映像が続き、目眩のような感覚を覚えるとともに、ひたすら長く、動かない場面の切り替わりが次第に意識されなくなり、全ての情景が同一線上にあるように思えた。それは背後にずっと流れている「音」のせいでもあると思う。ここ、と、そこ、が同じ空間にある。ここでまたしても「瞬間という琥珀に閉じ込められている」*1という言葉を思い出す。
タルコフスキーの映画を思い出したりもしたけれど、私が思い出す断片たちと、画面に映っている映像との差異がわからなくなっていく頃、「私」は永遠に眠り、目が覚める何者かの存在があることを感じる。

『太陽』

そしてうれしいニュース。イッセー尾形さんが昭和天皇を演じたソクーロフ監督映画「太陽」の公開が決定したようです。(参考:http://www.be.asahi.com/20060415/W14/20060324TBEH0010A.html
『太陽』は、「お腹痛い」のid:matsukuraさんの感想(http://d.hatena.ne.jp/./matsukura/20050909#p1)を読んでから、ずーっと気になっていた映画。ソクーロフの名前を知ったのもこの記事からでした。感謝。