喉元のことば

「伝えるべきことは伝えられるうちに伝えるべき相手に伝えればいいのに」と、ある人に言われたのがずっと頭に残っていて、それを心掛けたいと思っているのだけど、伝えたい気持ちをどうあらわすのかが、じつはいちばん難しいような気がしていて、伝えることを試みてもいつも、ぜんぜん足りないと思うのだった。
かといって言葉を尽くしてもよけいなものがまとわりついてしまいそうだし、それが、要求になってしまわないように、とか、もっとそっと(豆腐をすくうみたいに)、って思うのは影響を与えたくないということなのかもしれなくて、じゃあそもそも伝えたりしようとせずに、ただ享受し続ければいいじゃない。と、しばらく目線を固定しつつ考えてみて、でも、やっぱり外に出したいなにかがあるのは、たぶん、きっと、喜んでもらいたいんだねと気付いた。
たしかに、それは、ちょっと図々しいことなのかもしれない。けど、でも、そう。とめてしまうんじゃなくて、少し送れるような。わたしがたくさんもらったみたいに、例えばそれがほんの少しの燃料に、なれたらいいなと思うのだ。もう少しつづをつなげてほしいっていう、要求が(それはやっぱり要求で)あって、だから私はぐずぐずと言葉をいじりながら、伝えたい気持ちをどうあらわすのかが、じつはいちばん難しいような気がしている。
もしもカウボーイと結婚したら、わたしのこの意気地のなさも止まるのだろうか。