「天然コケッコー」特別編/くらもちふさこ

映画化記念として、コーラスに3号連続で連載がはじまった。「天然コケッコー」は単行本で読んでいたから、雑誌で読めるというのはわくわくしてしまう。が、3話で完結って、じゃあ単行本になるのいつ? とか心配しちゃったりもするのですが。
ともかく第1話、カウンターパンチのような作品だった。

気に入ってくれりゃ ええけどな わたしらの村

そこから、はじまるのは大沢の「そこまで」。冒頭は大沢と鈴木の関係を中心に描かれるんだけど、その後を知ってる読者だからこそ、大沢の視線、言葉のはしばしに、読み取れる思いがあって、切ない。
そして前半で描かれる「都会の駅前」と後半にでてくる「駅前」の描きわけも大沢の心情と見事にシンクロしてるなと思った。駅前のロータリー、あのピッポピッポゥ、という音、遠くに見える山。
それは、冒頭6ページの濃度と、後半約9ページかけて描かれる移動の対比でもあると思う。つまり画面内にこめられた情報量の差で、場面転換を描いていて、ひたすらうまいなぁと思ってしまった。
ああ。これが読めるだけで映画化になってよかったって思います。次号までに全巻読み直そう。

そして今日は、「トップランナー」に「天然コケッコー」映画化で脚本を担当された渡辺あやさんが出演していた。これを知ったのはコーラス巻頭にくらもちさんと渡辺さんの対談がのっていたからだったんだけど、そこに「『天コケ』を映画化する意味を見つけること」と書かれているのを読み、さらに渡辺さん自身が天コケの舞台となった島根県に住んでる方なのだと知って、がぜん期待が高まった。物語としてどう編集されるのか、はちょっと予想できないとこあるけれど、忠実になんて無理だろうし。ただ、私が見たことのない、天コケの風景を見れるというだけでわくわくしてしまう。というのは「トップランナー」内で流れた海の映像を見たからだったんだけど。車が運転できるなら、自分でもいってみたいのになぁ。