- 作者: 浅野いにお
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/12
- メディア: コミック
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例えば,山本直樹さんの漫画にある、明るい景色の中で湿ってるくらさ、というか、そんな雰囲気に近い。
「おやすみプンプン」で描かれるのは小学生男子の目から見た「日常」だ。この「目」というか、視線の描写が、とても面白い漫画だと思います。
まず、プンプンの造形が人間として描かれていないことが、一見すると奇抜な演出っぽいのだけど、むしろ効果的なフィルターになっているように思う。つまり、なんていうか子どもの目線からみた、世界の奇妙さを描写する際に、プンプンという主人公自体にフィルターがかかっていることが、読者が物語に入りこむための抵抗を少なくしてくれる、というか。なんかちょっとこわい、変な感じが、たぶんそのまんまリアルに(人間の造形で)描かれていたら、読む側は自分のいる世界と重ねて読む(実際の自分の立ち位置から読んでしまう)かもしれないけど、このお話はそのへんの見せ方がうまいなーと思いました。
たとえば、16話で「おれらそういう意味では一心同体」とかいいながらズボンの片足に二人足突っ込んでる場面とか、なにそれ!? て、そのわざとらしさを指摘したいんだけど、いっぱいいっぱいになっちゃう感じ、とか。
夏休みが終わった後のプンプンの表情の絶妙さとか。
「翼を下さい」をバックに「このままずっと目をつむっていたら/水みたいに蒸発してどこまでも飛んでゆけるんじゃないか」って場面なんか、ドラマチックだったなあ。
ずるいくらいうまい。すごい漫画だなと思いました。そしてこれからどうなるのか全然わからないけど楽しみです!
1巻感想 → http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20070805/p1
→
「ねぇプンプン、神様は思うんだ。
人が人として生きている以上、絶対に埋められない寂しさがあるよねって。」
「人がどれだけ求めあっても傷つけあっても、
完全にわかりあえないのだとしたら、
一体何を信じてゆけばいいのだろう? なんてね。」
「おやすみプンプン」第16話
この後の間と、次のひとことは、まーもうそれしかないですよって笑っちゃう感じだった。うう。