３月のライオン １巻／羽海野チカ

3月のライオン (1) (ジェッツコミックス)

羽海野チカさんの新刊。
主人公はプロ棋士の高校生で、理由あって一人で暮らしている。
隣町に住む家族や、棋士の人々など、彼の回りにはにぎやかでやさしい人が多いのだけど、そのなかでひとり、しんとした主人公のたたずまいが印象に残る。
才能があり、それでいて、どこか影のある主人公は、ハチクロで描かれた様々な人物、特に、はぐちゃんと竹本くんに、つながるものがあると思う。
ただ、このお話の中で羽海野さんが描こうとしているものは、まだよくわからない。
というのも１話づつたどるうちに、だんだんと主人公の姿が見えてくるような構成になっているからで、例えば主人公がなぜ一人暮らしをしているのかも、１巻を読み終えてようやくわかる。ただ、登場人物たちのつながりの上に、なにかが生まれていくような感触があって、そこが、もしかすると新しいテーマになるのかなとか、思いました。
テンポの良い語り口と、思わず笑ってしまうような場面、主人公の内面を描くあの大ゴマづかいも健在で、羽海野節（というかなんというか）も存分に楽しめる。
続きも楽しみです。
ちなみに、主人公の世話を焼く、あかりさんがすてきすぎるなと思います。