毎日

仕事ではじめて茅ヶ崎に行った。茅ヶ崎といえばやっぱりさー、という想像通りに、タクシーの運転手さんは私が乗り込むとすぐに「桑田佳祐の家知ってる?」「やーほんとそういうお客さんばっかでねぇ」「あっち(海側)とこっち(おじさんの回ってる側)とじゃなわばり違うのに」「桑田佳祐が通ってた定食やとかおじさんそんなんまでしらねーからこまるョ…」などと、文句口調ながらも嬉しそうに語り始めたので、さすが茅ヶ崎だなと思った。
人を待っている間,ロビーの大きな窓をのぞいてみたけれど,海がどちら側にあるのかはよくわからなかった。ただ、背の低い建物が平かに夕陽に照らされている様子は、なんとなく海のそばの街ならではに思えた。とくに根拠はないけど。

「今日が日曜日ってことは、家帰っていっぱいやりながら篤姫見れるってことなのよ」って新宿ですれ違ったおばあさんが言った。
電車で並びに座っていた、お母さんくらいの年代の女性は、隣の友人に小声で「今ぬか漬けがいい具合につかってんの」と耳打ちしていた。
なんか読みたいと思って駅ビルの本屋に行ったら、読んでいるシリーズのコーナーに次に読む巻だけがあった。
代々木上原で地下鉄が地上にあがった瞬間、「こっちのが移動してる感じがするから好き」と、幼い女の子が言って、私も頭の中で、そう思う、と言った。

なんとなく、どこへというわけでもなく移動したい気分というのがあって、今がまさにそれな気がする。どこか、と思いながら目を閉じても、あっというまに眠ってしまうから、目を開いてもそこは同じ場所みたいだ。