おおかみこどもの雨と雪

細田守監督の新作、ということでずっと楽しみにしていて初日に行ってきました。とってもよかったです。

おおかみこどもの雨と雪」は、おおかみおとこと人間の女性との間に生まれた、2人の子ども(姉の雪と弟の雨)の成長を娘である雪の回想という形で描いた物語。実は予告を見た段階では、すこし身構えるところもありました。というのも、前作「サマーウォーズ*1で描かれていた「家族の絆」は、私には正直重いなと思うところもあり(ただし「サマーウォーズ」はそれでもとても好きな作品です)、今回も「家族の絆」がテーマなのかなーと思っていたからです。
でもこの「おおかみこどもの雨と雪」はあくまでも母親の花と、雪と、雨の物語であって、彼らがそれぞれ別の存在であるということが際立っていた。そのことは、もしかして父親や母親の視点で見るとまた違って感じられるのかもしれないけれど、私には心地よいものでした。

人間としての生活に、苦しさも喜びもあるということを、主に人と人とのやり取りの中から浮かび上がらせているのに対して、おおかみとして生きることにもそれがあるということを言葉ではなく映像で描くのもよかった。
それから、子どもが大きくなるというのは「すごいこと」なんだなということを、改めて考えたりもしました。たぶんこの作品のテーマはそこにあるんじゃないかと自分は思っています。個人的には、母親の花がほとんど弱音もはかずにいることが少し不自然に感じられたりもしたのだけど、それは花の視点の物語ではなく、回想として描かれている物語(なので語り手はそれを見ていない)だからなのだろうと思います。
時をかける少女」の真琴のように、主人公の失敗から生まれる焦りや困惑を描く場面がこの映画に見られないことは、登場人物に隙がないように感じる要因にもなってしまっている気がしたのだけど、それはきっと今後の作品で見られるだろうと楽しみにしていたいです。

それにしても、おおかみと人間のはざまにある雪と雨が、雪景色の中くるくると姿を変えながら走り回るシーンはとても気持ちがよかった。雪も雨もほんとうにかわいくて、転げまわってるところをもっと見てたかったです。
あとお気に入りは野菜の物々交換するシーン。
楽しかった!