「タイムリープもの」(もしくは「ループもの」)と呼ばれるジャンルの物語が好きです。
タイムリープものはタイムトラベルを題材としたSFの1ジャンルとされているけれど、いわゆる「タイムトラベルもの」と違うのは、タイムリープする先に「自分」がいないということだと思う。
つまり、タイムトラベルは「肉体ごと時間移動」するもの、タイムリープは「時間ごと、もしくは意識のみが時間移動」するものを指す、とここでは仮に定義しておきます。
私が最初にタイムリープを扱った物語に出会ったのは、おそらく北村薫の「ターン」だったと思う。
「タイムリープもの」という言葉を使うようになったのは、日記を遡ってみたところ、おそらく細田守版の「時をかける少女」を見てからで(「バタフライ・エフェクト」の感想にはタイムリープという言葉がでてきていなかった)、その後、おそらくシュタインズゲートをきっかけに意識的に「タイムリープもの」を探して見るようになったのだと思います。
タイムリープものというのは、その現象自体の謎を解明することが必須ではない(むしろ解明されないことの方が多い)ジャンルだと思うんだけど、その代わり「なぜその期間をループするのか」もしくは「ループが終わった/ループを終わらせたのはなぜなのか」についての説明が結末につながる事が多い。
そこに読者が納得すれば、ループの仕組み自体は「そういうものだ」と受け入れられることが多い気がします。
とはいえ、ひとくちにタイムリープものといっても、本当に多様な物語があるので、ここで一度、自分が「タイムリープもの」と認識している作品を分類して整理してみようと思いました。
ここではまず
- A「ループから抜け出す話」
- B「ループを重ねて目標達成する話」
- C「タイムリープが人生を変える話」
に分けてみたいと思います。
(もちろん重なる部分がかなりあるので、どちらが物語の本筋に近いと感じたかという主観的な分類です。)
A:ループから抜け出す話
- 比較的短期間の繰り返しであることが多い
- ループから抜け出すことが(最初の)目的
- 「恋はデジャ・ブ 」(映画)
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- 「ミッション: 8ミニッツ」(映画)
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- 「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(映画)
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- 「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」(映画/アニメ)
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- 「ターン」(小説)
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「オール・ユー・ニード・イズ・キル」と「ミッション: 8ミニッツ」はトライ&エラーを繰り返すという点で似た構成だと思う。
「恋はデジャ・ブ 」と「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」は本人の意識の変化がループ空間から脱出するきっかけになるというところが近いかな? 「ターン」はいきなり上の定義とちょっとずれるかもしれないけど、描写自体は典型的なタイムリープものだと思います。
B:ループを重ねて目標達成する話
- 「STEINS;GATE」(ゲーム)
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- 「バタフライ・エフェクト」(映画)
- 「魔法少女まどか☆マギカ」(TVアニメ)
- 「サクラダリセット」(TVアニメ/原作未読)
- 「Re:ゼロから始める異世界生活」(TVアニメ/原作未読)
- 「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」(映画)
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最初はタイムリープの原因を探す話であっても後にその力を使って、単にループからの脱出ではなく、起こってしまった未来を変えることを目標にしたもの。
「STEINS;GATE」や「ライフ イズ ストレンジ」、「ひぐらしのなく頃に」とかもそうだけどプレイヤーが「トゥルーエンド」を目指していろんな分岐を渡り歩くことに似ている。
個人的には、どのエンドがトゥルーエンドかはプレイヤーに委ねられている…ととれるような設定だとなお好きです。
観測者である自分だけがあり得たかもしれない/けれど決してしまった分岐の先を知っているという点で、タイムリープする主人公の視点とプレイヤーの視点が重なるところが特にゲーム系タイムリープものならではの演出だと思う。「バタフライ・エフェクト」のソフトに別バージョンのエンディングが収録されていることなどもゲームでの描き方に似ている。
C:タイムリープが人生を変える話
- 主人公は目的意識があってタイムスリップするわけではない
- 主人公はタイムスリップの能力を(死以外で)使いこなせるわけではない
- 「リプレイ」(小説)
- 作者: ケン・グリムウッド,杉山高之
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- 「ハリー・オーガスト、15回目の人生」(小説)
- 作者: クレア・ノース,雨海弘美
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「リプレイ」と「ハリー・オーガスト、15回目の人生」は自分の死によって人生を繰り返すパターンのタイムリープものなのでよく似た構造だと思う。
ただ、「リプレイ」はそのタイムリープ期間は長いけれど、どちらかというと描かれるテーマは「恋はデジャ・ブ」の方が近い。
「ハリー・オーガスト、15回目の人生」は最近読んだ小説なのだけれど、タイムリープできるのが主人公だけではないために生じた問題の解決がテーマになっているという点で上にあげた物語のどれとも異なっている。
「時をかける少女」の場合は、ループよりもタイムトラベラーに出会ったというところが肝かなと思うのでむしろ「タイムトラベル」ものなのかもしれない。
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上記の分類からは、タイムリープがメインでないものやタイムスリップが1回しか起こらないものは省いたのだけど、
1回タイムスリップして戻るタイプの話は「違う分岐を楽しむ」という意味では、ゲーム的なタイムリープものに近いような気もする。
ざっくりとした分類なので、いやこれはやっぱりこっち…とかそもそも分類自体が間違ってる…というのも多々あるとは思いますが、もっと色々みて改めて考えてみたいと思います。
個人的に、タイムリープもので特に好きなのは、「世界線を移動しても記憶を維持できる力」がタイムリープ当事者にあり、「自分だけが覚えてる記憶があって、周囲の人はそれを忘れてしまう」という描写です。
それから「リプレイ」や「恋はデジャ・ブ」のように、タイムリープを繰り返したからこそ、今ここの唯一性に気づくという話も好きです。
お勧めがあったらぜひ教えて欲しいです。