2020年に見た映画ベスト6

2020年は日常生活でも様々な制限があったけれど、それは映画を見る上でも同様で、
映画館が営業停止になり公開を予定されていた映画が次々と延期になるという事態は、私の記憶する限り、生まれて初めての経験だった。
なので、新型コロナ感染症拡大以前、以後に見た映画は、体感では1年以上昔のことのように思えるし、おそらく、以後に見た映画のことは、そのような状況下にある映画館で見たということもセットで記憶されるのだろうと思う。
以前以後の狭間で見逃してしまった映画も多々ありつつ、それでも比較的映画館にはいっていた1年だと思うけれど、それでも今年は配信でみた旧作の方が圧倒的に多い。社会情勢に関連してみた作品も多かった。実は見ていなかった名作(「ドゥザライトシング」「フラッシュダンス」「シックスセンス」などなんと今年初めて見た)、というのもあれこれ見た。
劇場公開作が、作り手側というか、社会の今の雰囲気を映し出すものが多いのに対し、配信は、数ある作品の中から選んで見ているせいか、今の自分の気分というのがよく反映されていたような気がする。


それでも先日、毎年恒例になっている友人たちとの今年の映画談義をオンラインでやれたのは嬉しかった。そのことも併せて「今年みた映画」の記録になったような気がしている。
というわけで、今年はベスト6を書きたいと思います。

6位「羅小黒戦記」


今年、文鳥を飼い始めたせいか、小さな生き物すベてにソイ(我が家の文鳥)を感じてしまい、羅小黒戦記もファーストシーンのシャオヘイの様子に感極まってしまい、それからもシャオヘイを見るたびにシャオヘイを通してソイのことを考えていた。
フーシーについてとか、物語上の納得がいかない部分は明確にあるのだけれど、それでもシャオヘイの成長の鮮やかさについての感動は、文鳥と暮らし始めて頭が文鳥色に染まっている自分の様子とともに記憶されるのだと思う。

5位「ストーリーオブマイライフ わたしの若草物語


アニメ版「若草物語」がとても好きでジョーに憧れていた私にとって、好きな女優さんがジョーを演じてくれるというだけで最高だったし、子どもの頃は苦手だったエイミーに対して、エイミーの気持ちもわかるな、と思える描き方をしてくれたところがとても気に入っています。ジョーの結婚についての顛末も、個人的に原作を読んで、なんでだろう、と思っていた部分なので、余白を残してくれてよかった。

4位「ブックスマート」


世の中は良くなっている、という前提のもとにその先を描いてくれたような映画でよかった。
最近、実家の自分の部屋にあったものを処分する機会があって、中高生時代の手紙とかあれこれ出てきたんですが、思春期の自分の不遜さとか見るに耐えない〜〜となったのでブックスマートのみんなはほんと偉いよ。自分で自分を振り返るの、そんなすぐできないもんな。あとサントラもよかった。家でよく聞きました。

3位「燃ゆる女の肖像」


あまり事前情報を入れずに見にいったのだけど最初のシーンからラストシーンまで、描こうとされていることが描き切られている、と思うような映画だった。映画を見ていてこう思うことはあまりないのだけど、まるで文章を読んでいるように、セリフのない場面からも様々な言葉が浮かんでくるようで、そんなに注意深く見つめたら好きになってしまうと思いながら見ていた。
ラストシーンで物語の中の、幸せな一場面を再現して終わる、という結末がとても好きなのだけどこの物語のそれは完璧だった。

2位「ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから」

https://www.netflix.com/title/81005150
これだけNetflixでの鑑賞だけど、今年のこれは特別によかった。ブックスマートよりもっと手前の差別も偏見もある町の話だけど、いわゆる叙述トリックに近いあの語り口も、主人公2人の関係性もとても素敵だったし、他者を知るとはどういうことか、ということの描き方がとてもよかった。

1位「はちどり」


映画館が再開しばかりの頃に観にいった。まだ少し落ち着かないような気分もあったけれど、映画が始まってしまえばそんなことは遥か彼方で、映画館で映画を見るということの特別感を味わえた作品でもあった。今が過ぎることを願っていた主人公の、微かな心情の変化を浮かび上がらせる映像の素晴らしさがとても印象的。監督の次回作が楽しみです。