2014-01-01から1年間の記事一覧

 「道草日和」「夜の太鼓」/山川直人

「道草日和」 流転荘というアパートのある町を舞台にした連作短編集。登場人物がみんなとてもまじめで、だからこそ不器用なところがあってそれが読んでて少し苦しくなってしまうところもあるんだけど、とてもやさしいお話が多いなと思う。ただ「東京は夜の1…

 チョコレートドーナツ

監督:トラヴィス・ファイン 薬物中毒で収監されてしまった母親に置き去りにされたダウン症の少年が、ゲイのカップルとともに暮らし始め、信頼関係を築いていく…という実話をもとに描かれた作品。 1970年のお話ということもあって、歌手を目指す主人公のルデ…

 梅雨

オセロみたいに、1手でいろんなことが裏返ってしまうような出来事があるとしたら、とかいうことは考えちゃいけないような気がしてたけど、想像もできないようでは効果的な一手を思いつく訳もなく、そもそも裏返って欲しいのかどうか、なんだか自分の中が遠…

 「つなぐと星座になるように」他2冊/雁須磨子

雁須磨子さんの新刊が3冊同時期にでたのでまとめて。 「つなぐと星座になるように」6巻 4年間にわたる連載の完結巻。雁須磨子さんの漫画は読んだことないのみたら絶対買うのでほとんど読んではいると思うんだけど、その中でも一番、予想外の結末でした…! 瑠…

 グランド・ブダペスト・ホテル

監督:ウェス・アンダーソン とっても面白かったです。 ある作家の墓前でその著書を開く少女、そしてその作家が聞き取った物語、そして物語の中の世界、と3重の入れ子構造になった映画でその3つの世界(現在の部分はとても短いのだけど)の描き方の違いひと…

 向こう側はちゃんとある

この日記を書き始めて、いつの間にか9年と半年近くが経っていました。一つひとつの文章を書いているときはほとんど意識していなかったけれど、改めて振り返ると9年と半年って、ものすごく長い年月だなと思う。 日記を始めた頃は、自分の日記を読んだことのあ…

 「娘の家出」1巻/志村貴子

娘の家出 1 (ヤングジャンプコミックス)作者: 志村貴子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2014/05/09メディア: コミックこの商品を含むブログ (24件) を見る「放浪息子」と「青い花」というどちらも約10年続いた長編連載が相次いで完結した後の最新作。 「放浪…

 アクトオブキリング

監督:ジョシュア・オッペンハイマー タマフルを聴いて気になった作品。金曜日の夜見に行くには少々思いかなと思いつつ向かったのだけど、少々どころではなく重かった。見て良かったと思ったけど人におすすめするというのも違う気がする。でもきっと忘れずに…

 「LIFE!」

監督:ベン・スティラー 実在した雑誌「LIFE」誌で働く妄想癖のある主人公が、現実の冒険へ旅立つことになるお話。予告を見て、なんとなく「書を捨てよ町へ出よう」というようなお話なのかなと考えていたのですが、予想はすっかり裏切られました。 時間経過…

 最近読んだ漫画

「小僧の寿し」/勝田文 いつも新刊を楽しみにしている勝田文さんの、たぶん食べ物をテーマにした短編集。最後に収録されているクリスマスキャロル以外はすべて現代のお話ですが、どのお話も勝田さんらしい画面構成で読んでるだけで楽しい。 もちろん漫画な…

 『LEGO® ムービー』/かけなかった似顔絵のこと

監督:フィル・ロード/クリストファー・ミラー レゴのキャラクターが動くだけでなくレゴでできた世界が動いている、というのはもちろん初めて見る映像で、ちょっとおそろしいくらいの迫力だった。情報量があまりにも多くて、今回は2D吹替え版を見に行ったの…

 「幻想ギネコクラシー」1巻/沙村広明

幻想ギネコクラシー 1作者: 沙村広明出版社/メーカー: 白泉社発売日: 2014/03/26メディア: コミックこの商品を含むブログ (37件) を見る沙村広明の新刊がでたよ!というときは毎回かなりウキウキしている自覚があるのですが、読み始めると、こりゃひどい!(…

 「くうのむところにたべるとこ」/ヤマシタトモコ

くうのむところにたべるとこ (マーガレットコミックス)作者: ヤマシタトモコ出版社/メーカー: 集英社発売日: 2014/02/25メディア: コミックこの商品を含むブログ (15件) を見るヤマシタトモコさんの食をテーマにした連作短編集、なんて面白くないわけないよ…

 「おんなのいえ」3巻と「先生の白い嘘」

「おんなのいえ」3巻 毎日のなかにはいろんな日があるし、その中でどういう1日を取り上げるかというのは物語を描くひと次第で、でも恋愛話とかになると「特筆すべきことがある1日」をつなげていったようなお話になってしまうことが多いとは思うんだけど、鳥…

 「もやしもん」完結

2005年に1巻がでて9年。ついに「もやしもん」が完結しました。1巻の感想をこの日記にも書いててちょっと気が遠くなったりもしましたが、9年間漫画やアニメで見てきた面々に触れていく最終回にはぐっときました。 沢木がこの力を失うというラストも作者の頭に…

 最近読んだ漫画

「なないろ胞子」/日暮キノコ 「喰う寝るふたり住むふたり」が面白くて、その後読んだ「モンクロチョウ」が最初面白かったのに不完全燃焼な感じに終わってしまい、気になっていたところにでた短編集。 現実感のあるエピソードにファンタジーを織り込む感じ…

 「アズミ・ハルコは行方不明」/山内マリコ

アズミ・ハルコは行方不明作者: 山内マリコ出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2013/12/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (19件) を見る一昨年読んだ『ここは退屈迎えにきて』(http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20121011/p1)がもうずっと忘れないだろう…

 「誰も懲りない」/中村珍

誰も懲りない作者: 中村珍出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2014/02/18メディア: コミックこの商品を含むブログ (4件) を見る「羣青」(id:ichinics:20120612:p1)を初めて雑誌で読んで、それから単行本に出会うまでの何年かの間に、あの自分のことを「あー…

 「繕い裁つ人」5巻/池辺葵

繕い裁つ人(5) (KCデラックス Kiss)作者: 池辺葵出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/03/13メディア: コミックこの商品を含むブログ (3件) を見る池辺葵さんの作品は、どれもとても静かなのに、引きこまれてはっとするような瞬間が必ずあるように思う。 こ…

 アナと雪の女王

吹き替えで見ました。たのしかったー! 物語は、生まれつきものを凍らせる魔法をもつ姉エルサとその妹アナのお話。 序盤の、姉妹の幼少期から現在までを説明する展開は短いのにすごく濃密で、特に「雪だるま作ろう」の歌とともに成長を見せて行くとことか冒…

 クラリッサ

1、2月の締切やら楽しみにしていた予定やらがあらかた終わってしまい、気が緩んだのかそれとも花粉のせいか、今週はやたらとだるい月はじめだった。年明けから読みはじめた文庫本もまだ読み終わらない。かといって面白くないわけではなく、むしろこの2か月…

 新しき世界

雪と雪の間くらいに見に行きました。 かなり話題になっていると思うので、ある程度内容にも触れてしまう感想になると思うのですが、どのくらいストライクかは人によるとはいえ、気になっているのならぜひとお勧めしたい映画だと思います。 この映画を見終わ…

 夜とコンクリート

これは一生ものだと思う物語に出会うことはそう多くはないけれど、その瞬間はとてもはっきりしていて、本を閉じて立ち上がってうろうろしたあとにすごいすごい、しか言えない感じ。 この本(というかその話)を読み終えた瞬間もまさにそんな具合で、「一生も…

 ウルフ・オブ・ウォールストリート

監督:マーティン・スコセッシ 面白かった! 約3時間という上映時間に若干ひるんでいたんですが思い切って行ってよかったです。なんといってもレオナルド・ディカプリオがノリノリで最高と最低を演じていたのが最高でした。 あまりにもノリノリなので、見て…

 秋元才加の卒業と宮澤佐江が選んだ「曲」のこと/2013年8月@東京ドーム

大人数でステージにいたとしても、自分の目にはとびきり輝いて見えてしまうのが自分にとっての「アイドル」ということなんだと思いますが、私にとってのアイドルといえば宮澤佐江ちゃん、そして、同じくらい大好きなのが昨年AKB48を卒業した秋元才加ちゃんで…

 小石

早いもので新年があけてもうひと月もたった。このひと月は、特にこれといって何もなかったともいえるし、大事件があったともいえる。気持ちの水はけがどんどんよくなって、最近はそれがどんな形をしていたのかよくわからなくなる。できるだけ穏やかに、平ら…

 オンリー・ゴッド

大好きなライアン・ゴズリング出演ということで見てきました。「Only God Forgives」という原題がオープニングに出てくることで、テーマはある程度推測できるものの、超残酷映像と美しい青と赤、現実と妄想が手を組んで混ざり合って別の色になっていくかのよ…

 「星を賣る店 クラフト・エヴィング商會のおかしな展覧会」@世田谷文学館

平日に休みをとってみてきました。 展示されているもの一つひとつが物語に通じる小さなドアで、その先をあれもこれもと次々に覗かせてもらうような展覧会でした。とても楽しかったです。 最初の部屋は白い箱に入れられた「商品」が並ぶ展示。一つひとつに添…

 マキヒロチさんの新刊4冊

1月に人気シリーズ「いつかティファニーで朝食を」を含む5冊を同時刊行!ということでほくほくしながら買ってきました。1冊だけ書店で見つけられなかったので4冊分の感想です。 「サヨナラフラグ」 7つの短編が収録された短編集。タイトル通りの「別れ」を…

 もらとりあむタマ子

監督:山下敦弘 年末に見ました。 「苦役列車」に続く、前田敦子さんと山下敦弘監督のタッグ作。 「苦役列車」での独特の佇まいも印象的でしたが、この「もらとりあむタマ子」は、アイドル前田敦子から女優前田敦子への過程に欠かせない作品になったのではな…