井の頭線とチョコレートバー

夕方から夜にかけての渋谷発の井の頭線は、いつもものすごく混雑している。発車間際にものすごい勢いで人が押し寄せてきて、でも中学生からずーっと通勤通学すべてを上り電車で通学してきた私にとっては、そんなのはもうなれっこですので、なるべく力を抜き…

 「さてと」と彼は言った。

【本の内容に触れています】 ときどき、わりと頻繁に、アンヘラ・ビカリオとバヤルド・サン・ロマンのことを思いだす。ガルシア・マルケス『予告された殺人の記録』の終盤で描かれる、彼らが再会する場面は、私がこれまで読んだ物語の中でも、ひときわ印象深…

 ねぇ、くーまん

私の携帯にはディスプレイ上にいつもいて、たまにしゃべったり、メールを送ってきたりする「くーまん」という待ち受けキャラクターがいます。何度か機種変更してはいるものの、ずっと同じメーカー(東芝)の携帯を使っているので、くーまんとの付き合いも、…

 猫と日々

長らく積んであった、「長い長いさんぽ」*1を読んだ。須藤真澄さんのエッセイまんがで、ゆず、という猫との別れが描かれている。 この本に限らず、猫が出てくる物語を読みながら考えてしまうのは、やはり自分と暮らした猫のことだ。だから読み終えても、特に…

 考える練習 

仕事はじめの一週間、てのはこんなにも長いものだったのか……なんて思う木曜日。だんだんと頭がまわらなくなってきたので準備運動がわりにダラ書きをしてみると、とその前に、このダラ書きという言葉は、なんかちょっとしっくりこないっていうか、まあ、だら…

 昔話/大雪の日

耳の奥が痛いほど静かだった。起き上がりカーテンをあけ、曇ったガラス窓をこすると、あたり一面の雪で、いつのまに、とうれしくなる気持ちと*1、今日の待ち合わせはどうするんだろーと不安になる気持ちと、半々でストーブをつけ、自分の PHS を、見る。 も…

 初夢日記じゃない

サンタさんの正体に気付いてたって、でももしかしたら、本物のサンタクロースさんってのもいるかもしれないじゃん…疑ったらかわいそうじゃん…だって本気で信じてる人がいなくなったらサンタは消えちゃうんだよ…! という具合に妄信スイッチが入りがちなあや…

 いまここ

眠っているあいだに見た夢のはなし、を目が覚めてから話しだすと、だいたい支離滅裂になってしまうし、目が覚めていくにつれ、それはすくってもすくってもこぼれ落ちる砂のように輪郭をとどめる事なく、いつしか目を凝らしても見えないくらい、遠くなってし…

 観覧車から

4年前くらい前と、 今年。 たぶんどっちも観覧車のって「わー」とかって興奮して撮ったんだと思います。上は携帯カメラで下デジカメ。 写真みながら、そういえばどちらのときも、なぜか「救われる気持ち」のこと考えてたなぁというのを思い出した。なにか連…

 電車王子

いつもながら、おちもない話なんですが、先日のこと。 飲んだ帰りかなんかの終電発車待ちの車内で、すみっこに座り込んでる男の子がいた。忘年会シーズンゆえの、まあ酔っぱらいなんだけど、隣に立ってるサラリーマンが軽く蹴ったりしてて、でも本人は全然気…

 「きみはぼくを、たまにみている」

土曜の朝、電車に乗っているとき、すぐそばに親子が立っていた。男の子は、お母さんと外出できるのが嬉しくて仕方ないって顔で、お母さんの足に乗っかったり腕をひっぱったりしている。いたいいたい、といって笑いながら、その子のお母さんは「そんなひっぱ…

 季節と電車

雨の日の電車には音が詰まっている。いっぱい、の詰まってるじゃなくて、ぎゅっと、こもっている感じがする。夏はどんなだったっけ、と、思い返そうとしたとたん、耳元によみがえるのはゴウゴウと鳴るクーラーの音、そして、白いシャツの男の子たちが、窓を…

 スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドゥーシャス

小さい頃、「メリーポピンズ」の映画が大好きだった。内容は断片的にしか覚えてないけど、ベビシッターとしてやってきたメリー・ポピンズさんは魔法使いで、指を鳴らすだけで部屋片付けたり、歌って踊って傘をもって空を飛んだりする。彼女の魔法の呪文は「…

 PASMOもしくはSUICAの手

私はPASMOをお財布に入れているのですけど、最近右手の親指を痛めたので、改札でパスモタッチする際に、つい手の甲を下にすることが多い。 そのたんびに、なんかちょっともしかすると、この手がパスモになるんじゃないかって思うんです。 だってパスモの効果…

 煙の色

指先に、少しおくれてねじれる煙の色を見ながら、その色は青いと思う。最初に煙草を吸ったのは「はじめて女の子と一夜を共にした後のこと」と言ったのは確か「ブルー・イン・ザ・フェイス」でオーギー・レンの店に最後の一本を吸いにくる男の台詞だったよう…

 わたしの生活

バトンいただいてしまいました!うれしい!バトン大好物! なのですぐにでも答えたい…と思ったのですが、先にウカケンさんにいただいた 「どうやって暮らしているのかが本当に謎です。いちこさんの1日は何時間あるんですか?」 http://d.hatena.ne.jp/./xav…

 夕暮れビール

駅前にロータリーがあると、知らない町だ、と感じてしまうのは、私が幼い頃からずっと駅と住宅街が地続きに直結しているような町に住んでいるからで、あたりを見回しながら、ここもまた知らない町だ、とすこし身構えつつも、あちこちで交わされる、あら、い…

 昼寝

昼休みには、だいたい毎日喫茶店へ行くのだけど、喫茶店にいるいつもの人々はだいたい、うたた寝をたしなまれていて、わたしは、あの人たち休憩時間内にちゃんと起きれるのかなーとか不安に思いながらも、コーヒー飲みつつ、本読んでるふりしつつ、それらう…

 西友トランポリン

幼い頃、母さんにつれられて行ったM町の西友は、普段行く近所のスーパーとは全然違っていて、イートインの食堂や、屋上遊園、ペットショップには金魚売り場まで備えてある、なんて今では特にめずらしくもない、むしろ懐かしささえ感じる「一昔前」の光景かも…

 目にうつる何か

最近書くことの半分近くが昔話になっていますが、とくに近頃思い出に浸っているというわけではなく、むしろそもそも人生はまるで、過去ログの海を泳ぐようなもの、視界にうつり言葉にしたとたんに、記憶になっていくその、肩に触れるような、懐かしい気持ち…

 定食屋にて

定食屋で、焼き魚定食を食べていた。イサキの塩焼きだったと思う。ピンと伸びた尾にまぶされた、塩の粒。皮を割り、身に箸を入れると、いいにおいがみそ汁の湯気に混じる。ズッ、ハァー。ぐるりとあたりを見回すと、後からくるひともみな「焼き魚定食」を頼…

 コピーロボットとの会話

今日は朝から考え事してた。たとえば、自分のコピーロボットがいたらいいなあとかそういうこと。かわりに仕事いってほしいとか、そういうんじゃなくて(ま、それも魅力的ですけど)単に話し相手として、コピーロボットがいたら、いいだろうなぁとか考えてい…

 酔いざめの水

世界でいちばんおいしいのみものは、酔いざめの水だ、と思うことがある。朝5時すぎ、まだ日が昇る前の濁った空の下を歩きながら、追いかけてくるいくつもの朝を振払って、黙々と歩く、その手にポカリスエット、缶コーヒー、ヴォルヴィック、ネクター、のど…

 昔話/電車

今朝、飲み物を買おうとキオスクを覗き込んで、ふと、隅っこにボンタン飴が並べてあるのに気づいた。まだあるんだな、なんて視線を戻しながら、あの首筋がぞっとする感じを思いだす。 → 子どもの頃、おじいちゃんおばあちゃんの住んでる家に行くとかで、わり…

 昔話/フォークダンス編

昔から私は、なにかイベント事のあるときに限って、体調を崩したり怪我したりすることが多い。とくに好きな男の子関連の行事とかが近づいてくると、注意力散漫になるのか、土壇場になって、おじゃんとかそういうことがよくあった。 例えば、クラブの試合見に…

 おはよう

近頃は、元気なんだか凹んでるんだか、よくわかんない気分で、ピーズ聴きながら……けどそんなんは何の解決にもなんないんでしたーじゃーん的な開き直りとか、ま、飲んでりゃきのうも見えるダーローとはよくいったもんだねって、まぁいいか、いやいや、んー、…

 コーヒーがぬるいわけ

23時、駅には向かわずに曲がり角を、左、右、左。ひとつ折れるごとに明るさのボリュームが小さくなっていく路地の奥にある部屋の、キッチンには白い薬缶があって、その底は茶色く焦げていた。焦げているなぁと思いながら、湯が沸くのを待つ。その足がかじか…

 友達になった

大学の卒業制作をやってた頃、彼とはよく編集室の自販機前にあるベンチで顔をあわせた。ちわ、おっす、どう? どうかね、なにとってんだっけ、んー、みたいな会話を、交わしたり交わさなかったりで話題はすぐになくなり、缶コーヒー飲んだりコンテ直したりし…

 今さらすぎる

初めて酔っぱらった日のことを突然思い出した。 レディオヘッドがベンズの発売で来日してたときだから、まだ未成年…かどうかちょっとあやういとこですけど、とにかく友達と連れだって、横浜までTVKの公開収録を見にいったんだった。トムと、たぶんコリンがき…

 どっちへ

今まで、特に意識したりすることはなかったんだけど、この日記にも、書かないようにしてきた話題というのが、あるんだなーということを、最近考えていて、たぶん、あらためて考えるまでもなく、そんなのあたり前のことなんだろうし、でも、どこを自分が避け…